ランサムウェア被害が過去最多|中小企業が今こそ点検したいVPNと備え
2026/10/19
ランサムウェア被害が過去最多|中小企業が今こそ点検したいVPNと備え
本記事は情報提供を目的としており、特定の保険商品の勧誘を目的とするものではありません。
「うちのような小さな会社が狙われるはずがない」。サイバー攻撃の話題になると、今もこうした声を耳にします。しかし公的な統計は、その思い込みとは逆の姿を示しています。警察庁によると、2026年上半期に報告されたランサムウェアの被害は123件で、統計を取り始めた2020年下半期以降、半期として最多となりました。被害を受けた企業・団体のうち、中小企業が約6割を占めています【参照元:警察庁『令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年)】。この記事では、一次情報をもとに被害の実態を整理し、中小企業が今週から取り組める点検項目と、被害を受けたときの備え方を解説します。岡山・広島で事業を営む経営者や総務担当者の方は、自社の状況と照らし合わせながらお読みください。
目次
- ランサムウェア被害の現状を一次情報で確認する
- 実務で見落としやすい3つの点
- 代理店の視点:予防・対応・回復の3段階で備える
- まとめ:まずは自社のリスクを棚卸しする
ランサムウェア被害の現状を一次情報で確認する
被害件数は半期で最多、中小企業が約6割
先に挙げた警察庁の資料では、被害の報告件数が半期として最多となったうえ、被害組織の約6割が中小企業でした。大企業のように専任のセキュリティ担当者を置けない会社ほど、攻撃者にとって侵入しやすい相手になっていると考えられます。
また、情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」の組織編でも、「ランサム攻撃による被害」が1位に選ばれ、2016年の初選出から11年連続となりました【参照元:独立行政法人情報処理推進機構『情報セキュリティ10大脅威 2026』(2026年)】。業種や規模を問わず、岡山・広島の中小企業にとっても経営課題として扱うべき段階に来ています。
専門用語解説
「ランサムウェア」:社内のデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに金銭を要求する不正プログラム。近年は、データを暗号化せずに盗み出し、「公開されたくなければ支払え」と迫る手口も確認されています。
「VPN機器」:テレワークや拠点間の通信のために、社外から社内ネットワークへ安全に接続するための機器。設定や更新が古いままだと、侵入の入口になることがあります。
侵入口の約5割はVPN機器
警察庁が被害組織に行ったアンケートでは、感染経路のうちVPN機器が約5割を占めました【参照元:警察庁『令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年)】。導入時に設定したまま、機器の更新プログラムを当てていない、退職者のアカウントが残っている、といった状態は珍しくありません。入口の鍵が古いままでは、社内のパソコンでどれだけ対策をしても、侵入を防ぐことは難しくなります。
復旧には時間も費用もかかる
同じ資料では、1か月未満で復旧できた組織は全体の5割弱にとどまり、復旧に総額1,000万円以上を要した組織が6割を占めました【参照元:警察庁『令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年)】。
受発注システムや会計データが使えない期間が長引けば、売上の機会を失うだけでなく、取引先への納期遅れや信用の低下にもつながります。費用には、原因の調査、システムの復元、取引先や顧客への連絡対応など、目に見えにくい負担も含まれます。
実務で見落としやすい3つの点
1. 機器とアカウントの「持ち主」がいない
中小企業では、ネットワーク機器の設定を外部の業者に任せたまま、社内で誰が管理しているのかが曖昧になりがちです。まずは、VPN機器・ルーター・サーバーの一覧と、それぞれの管理担当者、保守契約の有無を書き出すことから始めましょう。
2. バックアップが同じネットワーク上にある
バックアップを取っていても、社内ネットワークに常時つながった外付けディスクに保存しているだけでは、本体と一緒に暗号化されるおそれがあります。ネットワークから切り離した保管先を用意し、実際に復元できるかを定期的に試しておくことが大切です。
3. 被害が起きたときの連絡先が決まっていない
画面に脅迫文が表示されたとき、最初に誰へ連絡し、どの機器をネットワークから外すのか。手順が決まっていないと、初動が遅れて被害が広がります。社内の連絡網に加え、システム保守業者、警察の相談窓口、取引先への連絡担当を一枚の表にまとめておきましょう。
代理店の視点:予防・対応・回復の3段階で備える
私たち株式会社エスプランニングは、経済産業省の「事業継続力強化計画」の認定を受けた企業として、自社でもリスクの洗い出しと手順づくりに取り組んできました。その経験から、サイバーリスクは次の3段階で整理することをおすすめしています。
予防:入口を固める
VPN機器などの更新プログラムの適用、不要なアカウントの削除、多要素認証の導入、従業員向けの不審メール対策の周知が中心です。費用をかけなくても、一覧表づくりと担当者の明確化だけで、点検の抜け漏れを減らせます。
対応:初動の手順を決める
感染が疑われる端末の切り離し、社内外への連絡、記録の保全までを「最初の1時間でやること」として文書にしておきます。事業継続計画(BCP)にサイバー攻撃の場面を加えておくと、自然災害と同じ枠組みで訓練ができます。
回復:事業を戻す道筋を描く
どの業務から再開するか、紙や電話で代替できる業務は何かを事前に決めておくと、停止期間を短くすることにつながります。あわせて、現在の契約でサイバー事故の調査費用や賠償、休業による損失がどこまで対象になり、何が対象外かを確認しておきましょう。(補償の有無や範囲は契約内容により異なります。詳しくは、ご契約の約款・パンフレット等でご確認ください。)
まとめ:まずは自社のリスクを棚卸しする
ランサムウェアの被害は、規模の小さな会社にとって「遠い話」ではありません。公的な統計が示すとおり、被害組織の多くは中小企業で、侵入口の多くは日常的に使っている機器です。大がかりな投資の前に、機器とアカウントの一覧、バックアップの保管方法、初動の連絡先という3点を確認するだけでも、備えの状態は見えてきます。岡山・広島の中小企業の皆さまも、まずは自社の状況を棚卸しするところから始めてみてください。
サイバーを含む経営リスクの棚卸しと無料リスク診断を行っています。社内規程や事業継続計画の確認についてのご相談も承ります。
株式会社エスプランニング
岡山本社:岡山県岡山市北区西崎1丁目18-16 TEL:086-250-5344
福山支店:広島県福山市入船町1丁目5-22 福山イーストスクエア6F TEL:084-993-9443
お問い合わせはこちら:https://spla2011.co.jp/contact
参照元:警察庁『令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年9月)https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/index.html/独立行政法人情報処理推進機構『情報セキュリティ10大脅威 2026』https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の加入を勧誘するものではありません。保険の補償内容は各商品・契約条件により異なります。








